40年以上前のこと。
私たち家族が延岡に住んでいた頃の話です。
ある日、父に連れられ、3歳になるかならない私と、まだ立つか立たないかの弟で、近所の行きつけの銭湯へ行きました。
私と弟は父に芋のように洗われた後、洗髪する父のそばで泡とたわむれていたのです。
しかし、ふと気づくと弟の姿がありません。
どこにも見当たらないのです。
え?まさか、と思って湯船をのぞきこむと、そこには気持ち良さげに水をかきかき沈みゆく弟の姿が。
あわてて、父に知らせると、父は泡だらけの頭で湯船に飛び込み、弟をレスキュー。
事なきを得ました。私が気づいてなかったらと思うと今でもゾッとします。
と同時に、私たちは生かされているんだなと、生かされているからには、なすべきことがあるんだなとしみじみ思うのです。