私が食事を終えて、顔を上げると、そこには愕然とした表情の妻。
そして、震える声でこう言うのです。
「え? 全部食べたの?」
「うん、食べたけど?」
「え? 何で?」
「え? 何で… 何で… 何で?」
どこの家庭でもそうだと思っていたことが、実は自分の家庭だけの慣例だったということがありますよね。
妻の家では、外食時は、少しずつシェアするのが慣例。
それが、愛の証。
そんな感じだったようです。
この人には私への愛がないの?
私を凝視する、驚きと、怒りと、恐れの入り混じる妻の目。
忘れることができません。
あれから二十八年、妻には肉の糧をシェアすることを通し、兄姉には霊の糧をシェアすることを通し、愛を示すことのできる幸い。