ぐっと冷えた先週の月曜日。朝から風も強かった。
買い物帰り、運転席からふと歩道を見やると、宙に舞う一枚の白い紙。そのすぐ後を必死の形相で追う中年女性。
もう少しというところで、白い紙は女性をあざ笑うがごとく舞い去り距離を取る。
追う女性。逃げる白紙。
状況からするにあれはきっと処方箋。
小さな医院が二〇メートルほど先にあり、少し離れて小さな薬局がある。移動する際、手にしていた処方箋を強風に奪い去られたと推測される。
追う女性。逃げる白紙。
あと十数メートルは走ることになるだろう。
思いがけずの短距離走。運動不足なはず。怪我しやしないかと心配だ…
と思いつつ、つい鼻がふくらむ中年男性もまた運動不足なのであった。