数年前に観た映画の、今でも時々ふと思い出す、印象に残る一場面があります。
瀕死の男性に自分の老母に手紙を届けてくれと頼まれた主人公が、男性の実家に行くのですが、そこで主人公が見たのは、炬燵に広げた新聞紙の上に突っ伏し、こと切れている老母の姿。
その手は胸に当てられています。おそらく心臓麻痺だったのでしょう。
ふと見ると、もう片方の手には一枚の宝くじ。新聞紙の上には虫眼鏡が置かれています。
そのレンズを覗き込むとそこには宝くじの一等の当選番号。
もしやと老母の手に握りしめられた宝くじの番号と見比べてみるとなんと一致したのです。
全てを察した主人公は寂し気にその老婆を見やりその宝くじを手に去っていったのでした。